第3食 とっておきの時間 スタイリッシュ×魚介×スペイン「La Pesquera MARISQUERIA」

東京都

少々込み入った話があった。
ついでに近況伺いや取り留めのない話に付き合って欲しいと思い、元同僚の彼女に一席設けていただいたのだ。

言い出しておいて人選も、店探しもやらないのだから我ながら酷いものだが
聡明でスピーディーな彼女は、すいすいとセッティングしてくれた。

やがて送られてきたご招待の店舗URLは何とも楽しみなものだった。
スペイン料理かあ。
実は丁度スペイン料理の本を読んでいて、食べたかったのだ。願ったり叶ったりである。

それにこちとら、最近都会とは、とんと、ご無沙汰なのだ。
電車に乗るのも人に会うのも久しぶりだ。
この喧騒が好きなのに、随分と離れていたような気がする。
何か月もという訳ではないのに大げさだが。

いやいや、そもそも私はおのぼりさんなのだ。生粋の東京生まれでもない。
都会が好きなのは致し方無いであろう。
常日頃は平静を装って通り過ぎているビル群も、思わず写真に収めてしまうほどである。

はしゃいでいる。

都会は楽しい。
ましては気の置けない仲間たちと仕事終わりのビジネス街を飲みに行くためだけに歩くこの時間は贅沢すぎる。
大手町タワーは初めて来るところだが、「オーテモリ」のネーミング通り、ビル群の中にとつぜん現れた森に囲まれている。
いやーすごい。こんなところで働いたり、お店の日常使いをしている方は一体どんな暮らしをしているのだろうか。
最寄りは大手町駅だったが、わざと東京駅を使い楽しく散策をしながら少し早めに入店完了。

段取りの良い彼女のおかげで予約名も知っている。
店員様に伝え案内されると、そこには既に1名。馴染みの友人だ。安心だ。
活気のある店内だなあと悦に浸っていると、ほどなく同伴者の皆様方が現れた。

こちらは「スペイン・アンダルシア地方にあるマリスケリア(魚介食堂)の活気ある雰囲気やお料理を体感できるレストラン」だそう。
その名の通り、ワイワイと賑わっている。
というか内装。お洒落である。そりゃデートもしたくなるであろう。
こんなに天井の高いお店は、個人的に色々とノスタルジックなのである。

まずはサラダなどの前菜から。メニューの写真で涎が出る。

ピンチョスはサーモン、雲丹、ブルーチーズの三種をチョイス。
ブルーチーズに生ハム、洋梨の組み合わせ、ちょっと真似してみたいかも。

このカッティングボード?良いなあ。家に欲しい。生ハムなどもこれに乗って来た。

総じて、日常ではなかなか真似がしづらいと思われるフルーツ使い。
いくつかのメニューにさりげなくフルーツがあしらわれている。
甘いものとしょっぱいものを合わせておかずにするなど、何ぞや。といった体たらくの私だが、
バランスの良いプロのお味のおかげで全てのメニューを美味しくいただけた。

来店から少し日数が経ってしまったが、来店時の旬はシャインマスカット。
カルパッチョ。うーん。フレッシュ。秋だなあ。

リムが広いお皿。憧れる。

美しい食べ物に心奪われていると、あっという間にお酒が無くなる…。
嗚呼。ヒューガルデン。美味しい。2リットル位持ってきてほしい。
しかし今日は飲み放題ではない。なるべく迷惑をかけないようにスローペースを心がけるが、あまりの美味しさに抗えん。これは参った。

参った挙句、チャルマンという微発泡白ワインをオーダー。
店員様が、え、そんなに高いところから?というようなエンターテインメントな注ぎ方をしてくださる。
見事な立ち居振る舞いである。

途中、失礼してお手洗いへ。
オーテモリ内の他の酒場もチェック。うんうん。この賑わい。
もうすっかり皆コロナとは共存しつつ宴会も謳歌しているようで何よりである。

飲食店様、応援しております。

しっかりとご飯ものも堪能。
スペインなのだから、パエリア食べなきゃ噓でしょう。
「イカスミと魚介パエージャ」。アリオリソース、好み。

delicioso!

アリオリソースと言えば、写真には写っていないが「インカのめざめの”パタタス・ブラバス”」という料理が地味に美味しかった。
フライドポテトがたこ焼きっぽくなったような。ジャンクさが溜らん。

少数精鋭の同伴者たちは相変わらず真っすぐで清々しく、少々愚痴ったりしても湿っぽくならないのが良い。
変わらない、心地よい時間を過ごさせていただけた。
名残惜しいが、一旦、解散。

私にとってこの店は気軽なお店ではない。
だから良かった。本当に全てが良かった。こんな飲み会、嬉しすぎる。嬉しすぎて普段より文字数も増えている。

一点反省。ここまでやってもらったのに、少々大目に支払わなかった自分。粋ではなかったな。
誠、酔っぱらった時ほど出来るだけスマートに振舞いたいものである。

蛇足。帰りがけで食べ足りなかったな、と、コンビニ飯を買うこともなかった。
あれ。勝手に自分の事を、飲んだら食べられないと思い込んでいたけれど、美味しいものならそうでもないのだろうか。
この気づき、良かったのか悪かったのか…。

そういえば自宅でスペイン料理を再現しようと思ったのに、いまだに実現できていないな。
公式ホームページにメニューの掲載があったので、献立の参考にしてみようか。

美味しい時間を、ご馳走様でした。


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La Pesquera MARISQUERIA
〒100-0004 東京都千代田区大手町1丁目5−5
地下鉄大手町駅より徒歩3分